眠たくなるには

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cinema staff「two strike 2(to) night 決定版」inSHIBUYA AX

目を閉じて、開いて、もう一度閉じる。
まぶたの裏には、まだ、あの日の残像が残っている。
私の中でシネマスタッフの残像はいつも、マイクを前にしてギターを掻き鳴らして歌う、飯田の姿だった。
けれど今回は違う。2曲目、great escapeでバックドロップが落ちてきたあの瞬間。
繰り返し繰り返し、あのシーンばかりが浮かんでくる。
こんなライブはたぶん、初めてだった。なのにひどく懐かしい。シネマスタッフ特有の空気だと思った。


今何回も、書こうと思って消して、また書こうとしてキーボードを打っている。
書きたいことをわさわさ書いていくから支離滅裂だし、たぶんレポートというには不十分すぎるけど、あのライブで思ったこととかをここにおいておく。

このワンマンが楽しみすぎて、曲に浸ろうと思うのに、私はこれまで見てきたいろんなライブの景色を思い浮かべていた。
小さいハコだと、優しくしないでの照明が赤いストロボしかなくて、チカチカと瞬くそれは荒削りで、それが一層曲の雰囲気を演出していたなあ、とか、AXは照明の色が青も赤も緑も白もあって、into the greenで溶けていくみたいな緑とか、第12感は赤と青の照明が混じって紫になっていて、『吐き気がするほどの人から選ばれて/ボーイミーツガールが繰り返されるだけ』っていう歌詞にぴったりだなとか、なんかそんなことばかり考えて、今、あれだけ楽しみにしていたワンマンにいるんだっていう実感を持たないように必死だったと思う。楽しめなかったとか、のめりこめなかったというわけじゃない。終わってしまうのが寂しくてしょうがなかった。そしてそれは、たぶん青アルバムのツアーファイナルのときも思っていた。

こんなに、こんなにエモーショナルな夜があってたまるか、と思った。観客もステージ上のメンバーも、一挙一動全部、何をしても楽しかったし泣けた。望郷のファイナルのときも思ったけれど、シネマのファンってきっと他のバンドより圧倒的に、シネマスタッフのライブが好きなのだ。好きで好きでたまらなくて、感覚をむき出しにしている。そしてそのオーディエンスの声援だとか表情とか、全てひっくるめた熱気で、シネマスタッフはすごく輝く。
アウェーよりホームの方が、対バンよりワンマンが。
シネマのライブが良かった、と思うのは全部後者で、それは観客との相互関係が齎してるものも多いと思う。

ニトロで歌えと煽る飯田が、耳に手をあててもっともっととしてて、三島が曲の途中なのにいいねえ!と叫んで喜んでて、辻は嬉しそうにわらってて、こんなん恥ずかしいわなにやらせてんだよwって思ったけど、こんなベタなことだってやりたかったよねえ、こんなにいっぱい客がいるんだもんねえ、と胸がいっぱいになった。
どんなにベタなことだって、客にかっこいいとか大好きとか叫ばせることだってw、恥ずかしいなーと思ったけど、そんな素直さがすごく楽しかった。

アンコールで出てきたメンバーに向かって、「(アンコールに)出てきてくれてありがとう!かっこいいよ!」と叫んだ人がいた。それを聞いた飯田が、パァッと顔を輝かせてたのが印象的だった。
こうやってライブにきてくれることが自信になる、と飯田は言っていた。
かき鳴らされたGATEは、お礼のようだった。
鼻を真っ赤にして、くしゃっと歪んだ顔を見て、泣いているのかなとおもった。


セットリストの話をすると、定番曲だ。もう、聞き飽きたよって笑いながらいってしまえるくらいの。
でもこれは、ツアーのファイナルでも、レコ発でもない、シネマスタッフが今のシネマスタッフの立ち位置はここですと、地面を確認するためのライブだ。
だったら、改めてこのセットリストをワンマンライブで聞くのもよかったかもしれない。
発売から時間が経って、熟成されてきた楽曲たち。アコギやチェロで色を変えたり、魅せ方が代わっていて、いつも通りなのにワンマンの特別感があった。
本編のラストがAIMAI VISIONなのが本当に、ぐっときた。
三島「今年でシネマスタッフ、10年になります。シネマの原点の曲をやります。高校の頃書いたこの曲が、今日こんな大勢の人に聞いてもらえて、本当にバンド続けてきてよかったです。感慨深いです。AIMAI VISIONという曲です。聞いてください」
片田舎(とかいってごめんね)の岐阜で、高校生だった三島が作ったシネマスタッフの原点の曲が、こうやって10年の時を経て千人以上の人の前で演奏されるようになったんだなあと思ったら、かなりエモくて見知らぬ三島少年に思いを馳せて泣きそうになってしまった。
demo音源とは技巧がちがう。だけど、込められた気持ちとか、オーディエンスを俯瞰した、あの三島の感覚は変わってない。どんなに大きいハコでも。

前に、飯田がこんなことをインタビューで言っていた。

今日はこの歌が残った、この歌が聴けて良かったなって思われるボーカリストになりたいってずっと思ってます。

cinema staff(Rooftop2012年9月号) - インタビュー | Rooftop
そういう意味でいったらあの日のワンマンの「この歌」は、salvage meだったんだと思う。
シネマのライブにいくと、いくたびに「この歌」が増えていく。
音源であまり刺さらなかった曲も、ライブで圧倒的な力を見せ付けられて、途端にタカラモノになる。
シンメトリズムも、salvage meも、どうやらも、実験室も。
泣けて泣けて仕方ないけど、そのエモい衝動の根っこがわからない。
毎度毎度感情を揺さぶられて、わあわあ涙を流している。
ライブ終わりに、ドリンクのところで女の子たちが話してた。
「制裁が聞けてよかった」
「バイタルに感動した」
叶ったよ、叶ってるよ、そんなボーカリストだよ、今も昔も、たぶんこの先も。
でもこれを、叶ってるよって言いたくなかった。わたしにはそんなボーカリストだけど、そしてこう伝えることで飯田が歩みを止めるとは到底思わないけれど、ずっと「そうありたい」と思ってて欲しいから。

素晴らしいライブで、わたしの中に滞ってたいろんなものが抜け落ちた気がした。
でも現金なもので、まだまだ見たい。次が見たい。
またシネマが見たいし、新しいアルバムが楽しみ。
声を大にして言う。今回のライブはこれまで見た何よりも素晴らしかった。
けど、たぶんそれすら次のライブが超えると思う。
シネマスタッフ最高だな!!!!!本当にな!!!!!

せっかくとったのでちょっと画像おいていく。

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暗いけど、落ちてきたバックドロップ。
あの演出ほんとにくい!ライブはいつも通りなのに、ああやって気合チラ見せしてくるからなーw


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落ちてたタオルを届けたら何故かもらったピックw辻が使ってたのかな?大切にします。

限界 とうに超えていて
かきたてるのさ オーディエンスが
いいなぁ 曖昧だったぼくのビジョンが
鮮明にそう センメイに
君が見えるぜ 鮮明に さ

cinema staff/AIMAI VISION


cinema staff「two strike 2(to) night 決定版」
2014年1月18日 SHIBUYA-AX セットリスト

01. KARAKURI in the skywalkers
02. great escape
03. 想像力
04. AMK HOLLIC
05. 白い砂漠のマーチ
06. いたちごっこ
07. 第12感
08. into the green
09. バイタルサイン
10. salvage me
11. 制裁は僕に下る
12. daybreak syndrome
13. dawnrider
14. 君になりたい
15. ニトロ
16. 奇跡
17. 優しくしないで
18. 西南西の虹
19. AIMAI VISON
<アンコール>
20. borka(新曲)
21. 望郷
22. 海について
<ダブルアンコール>
23. GATE