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cinema staff 「Drums,Bass,2(to)Guitars」全曲感想!

cinema staff

cinema staff第2章~「強くてニューゲーム!」~

シネマっていうのはすごくセンシティブで、けど前向きで。辛いし自分は弱いけど、まあ頑張ろう、やれることやろう。弱くてもいいじゃん。という、赦しのバンドだと思っていたんですけど、今回の、Drums,Bass,2(to)Guitarsはそういったところから離れた、「悩みとか悲しみとか辛さとか置いといて、バンドめっちゃ楽しい!」っていう単純明快なロックアルバム。
音楽って、バンドってこういうことでいいんだよなあってしみじみ感じさせる30分。
私はこれを聞いて、「人間っていろんな顔があるよな」って思ったんですけど。悩んでたってずっと悩んでるわけじゃなくて、楽しいときもあれば悲しいときもあるわけで、今までのシネマのアルバムって結構喜怒哀楽の哀だったり、負をまとっていたんだけど、これはスコーン!と抜ける楽のアルバム。

だってもう、一曲目が「theme of us」ですよ。僕たちのテーマ。
すごい憎い演出で、歌詞の中には「望郷」の僕もいる。

その孤独と手を取り合うあなたはとても美しい。
でも、未来と手を取り合うあなたは更に美しいでしょう。

さあこれから僕は行くよ。あの坂道を越えて行くよ。
そのままあとに続け。理由なんて最後に探せるよ。探せるよ。
―――望郷

過去を見送って未来がやってきた
そうして目を開けて見えたステージで
僕らは今でも大きな音を出していて
それを誰か笑えるかい
―――theme of us

同年代は岐阜にいたり東京にいったりして、普通に仕事をしているけれど、自分たちはあの曲がり角を曲がらずにまっすぐきた。
夢を諦めなかったことで見える景色を、「僕たちのテーマ」と言ってしまう潔さと、バンドとしての自信。
「誰か笑えるかい」という一文に、普通という道を外れることへの葛藤を覗かせていて、けれどそれが過去のことだって、カラッとしたオケと伸びる歌声が笑い飛ばしてるようにも感じる。
あんなにネガティブな三島が、「我らがスーパーマン」というのが本当に、充実してるんだなあって感じる。
この曲に高校生のころに出会ってたら、きっとすごい背中を押してくれるんだろうな。全国のバンドやってるキッズに聞いてもらいたい。夢をあきらめないって素晴らしい!楽しくて仕方ない!っていう、証明みたいな曲。

けどPVはどうしたんだよっていうwww

cinema staff 「theme of us」MV(2014.4.2 New Album ...
これまで抑えめだったのに、おもいっきり元気なシネマw
女装も、幽霊も、半裸も入れて、「僕たちのテーマ」っていうその心意気、すごいいいと思う!w


2曲目の「dawnrider」。
私はシネマの物語性のある曲がとても好きなんです。主人公がシネマ(三島)ではない、漫画とか小説のような創作の曲。
それは例えば想像力から革命の翌日に続くあの物語だとか、錆のテーマや実験室のようなもの。
dawnriderもそう。戦いに身を委ねる少年(≒僕ら)の話。モンハンのテーマソングだからか、疾走感もありますが、三島想平の考える「戦い」ってこれなんだなって。強さを求めることよりも、その先に何があるのかと考える、現状打破のために戦っているようなイメージ。
ところでこれのベースラインがすごいかっこいいと思うんですけどどうでしょう。

3曲目「tokyo surf」。
踊れるシネマキター!なんですけど、サウンドもそうだけど、私はこれ聞いて一番、「シネマの新境地だ!」と感じたんです。だって、今まであんなに「岐阜!」「地元最高!」って言ってたんですよ。望郷なんて冠のフルアルバムを出してまで、1時間近いアルバムで故郷への想いを語ってたあのシネマが、

さあ舵を取れよ 鈍く光る東京の街
涙の跡を取り繕う暇は無いよ

理由は無くとも僕ら笑い合うだろう
答えは無くともそれなりに行けるだろう
この街も悪くないな
―――tokyo surf

ですよ!
シネマニアによると「こう思いたい」とのことでしたが、いやそれでも、この街も悪くないなんて言葉が出るなんて!
じゃあ東京が好きになってきたのか、慣れたのかと思ったけれど、多分それも違うんじゃないかなって思うんです。三島がたどり着いたのは「東京の楽しみ方」。
物事はいろんな見方があって、嫌なところも楽しもうと思えば楽しめるってことに気付いたのかなって。忙しないし、埋没してしまうけれど、時たまそれがとても心地いい。波に溺れて、沈んだら浮き上がればいいじゃない、っていう応援ソングみたいだなって思います。
私はずっと東京にいるから、望郷の念も、東京への憧憬も持っていないけど、この曲を聞いてると元気が出ます。
にしてもギターのリフゴキゲンですね。

4曲目「borka
アルバムのリード曲が、borkaでよかったなって思うんです。
飯田がインタビューで答えていた通り、飯田の歌声がどこまでも美しく綺麗に伸びるメロディ。
キラキラ光る音のシャワーの中で、飯田の歌声がそれを縫うようにして届いてくる。
トイカメラで映した、海外の海辺の情景が目に浮かびます。
飛べない鳥、「ボルカ」は、自分を置いて行ってしまった仲間たちを歌いながら待っている。
一羽で待つのは寂しいことだけど、不思議とそう感じないのは、「ひとりぼっち」ですら赦す、この曲の持っている包容力のせいかなと思います。

さあ 羽を広げて大きな声で ボルカ
飛べなくても責めやしないよ暁の空に歌っていよう
あなたが帰るまでは
――borka

こんなにきれいで優しくて、それでいてドラマティックな曲にはそうそう出会えない。

cinema staff 「borka」 - YouTube
PVも本当に綺麗なんです。ずっと、いつまでも聞いていたい曲。


5曲目「shiranai hito
シネマ史上最高に歪んだ音とシャウト!
三島のシャウトと飯田の歌声の対比、本当に綺麗だなと。
このアルバムにおける、シネマあるあるの「ライブで聞いたら絶対楽しいやつ!」枠w

6曲目「sea said
海辺(sea side)と彼女が言った(she said)をかけてる。シーサイド。
三島の海への憧憬シリーズ。彼のルーツって海への憧れからきてるよなあと思ってるんですけど、あれだけ海について歌ってきてるのに、まだやるか!といった感じでw
shiranai hitoで一度暗いトンネルに潜ったあと、この曲で海の情景が見えるみたいで。
サウンドもパァッと開くような、清々しい曲。

7曲目「sitar of bizarre
エレキシタールを使った曲。不思議なピロピロした音が、なんか聞きなれないんだけど楽しいw
「夜の終わりを見届けて」のコーラスがたまらんw
「夜の終わりを見届けて服を燃やすとか」という歌詞が、白い砂漠のマーチの、「赤い衣装、濡れたままで火の輪をくぐる」を思い出してちょっとにやっとしたり。オリエンタルな雰囲気で、これも今までありそうでなかったような。辻がオケを作ってきたからかな。作り手が違くても、最終的にシネマの味付けになるの面白いなって思います。プレイヤーが一緒なんだから当然と言えば当然なのかもしれないけど。

8曲目「unsung
shiranai hito~sitar of bizarreは、一区切りというか、同じセクションだと思っていて、ここからまた新しいセクション。それの入口が、飯田作詞の「unsung」。妄想回路に続いて二曲目ですね。
妄想回路はデモも、Symmetoronicaのも聞いていて歌詞も知ってるんですが、あまり得意じゃなくて、飯田作詞、私苦手なのかな?と思ったりもしたんだけれど、これは違った。
インタビューで、「お世話になった人が病床にいるので、病室でも聞けるような、元気づけるような曲にしたかった。でも重苦しいものではなく明るい感じにはしたかった」と言っている通りで。
私はシネマのファンになって、飯田のボーカルの虜になって、その魅力を語るときに毎度言ってるんですが、彼の歌声には、圧倒的な「赦し」の力がある。癒されるとか、そういうものではなくて、「赦し」。天使だとか神だとか、そういう、理解の追いつかないような力。

確かに君は誰かに愛されているよ
痛みだけを取り除こうか

朝がやってくる前に 書き換えてしまいたいな
白衣を着た彼らも 嘆いてばかりはいられない
君がもう何一つ 恐れずにいられるように
大丈夫だよ
――unsung

「大丈夫だよ」と、伝えたいんだろうなと。病への恐怖も苦しみも、全て肯定したうえで、包み込むような「大丈夫」が、どうしようもなく刺さって、最初に聞いたときにただただ涙が出ました。でもその大丈夫が、どうしても自分に言い聞かせているようにも聞こえるんです。
歌には力がある。人に寄り添うことも、勇気づけることも、鼓舞することもできる。
このボーカリストは、その声で、人を泣かせたり、安心すら与えられる。
この曲は祈りの曲。飯田瑞規の表現を全て使って、ただひたすら祈る、それだけの曲。
この曲については、なんかもっと色々書きたいのになにも言葉が出なくなる。
制裁やsalvage me、実験室もライブで聞いてしまうと涙が出るんですけど、きっとこれも泣くだろうな。


9曲目「fiery
進撃の巨人のミカサをイメージした曲。
構成がすごくて、最初は9mmみたい!って思ったんだけど、シネマはやっぱりシネマなので、構成にデジャブを感じても別物なんですよね。
アルバムcinema staffのときに、飯田の歌に変化があらわれたと思っていて、今までは全ての曲を自分事のように感情を乗せて歌っていたんだけど、そのアルバム辺りから、彼は「ストーリーテラー」になったように感じていて。
シネマの楽曲に物語性のある曲が増えたというのもあるけれど、その表現力で視覚的なイメージを起因させるようになったなと。で、このアルバムで、特に飯田のストーリーテラーとしての力が色濃く出ているのがこのfieryだなと思うんです。
最初は無表情の彼女のように抑えた歌声で、だけど、「赤く染まっていく 記憶はもう忘れたいのに 季節のように」と目まぐるしく回る視界に合わせたような、濁流のような音の洪水と、その真ん中で一つ立っている、孤独の声。
激情的な発声が、物語が動いたことを知らせていて、それでもその声には彼女の揺れる想いが込められているようで。
5分かそこらなのに、壮大さがすごい。アルバムの奥行きをグッと深くしている曲。

10曲目「great escape
そのまま、進撃の巨人のEDだったグレスケのちょっと長いバージョン。最終回で放送されていたやつですね。これで〆られるの、本当に贅沢なんだよなあ。
最後全力疾走で、また最初に戻って「僕たちのテーマ」から聞きたくなる。
このアルバム、今までで一番、リピートに向いてるように感じるんです。ずっと、いつまでも聞いていられる曲たち。
繋ぎが本当に秀逸。


そしてここまで書いてきたんですけど、私はこのアルバムにサブタイトルをつけるなら「クノヨウヘイ!」なんですよね。
この、今までになかった新しさって、「明るさ」だなと思って、シネマの太陽(というのはちょっと抵抗あるけどw)のような、ポジティブなパワーって、ほっとんど久野から発信されているように思っていて。音の根幹を担う、リズム隊の彼が持つプラスのパワーがめっちゃ出てるなって。
とか思いつつインタビュー見てみたら、「望郷は三島に任せたから、新しい風をいれるためにも今回めっちゃ意見言った」って言っててwやっぱりな!www
曲順も久野セレクトなんだそうです。

久野 「望郷」の前に戻った感じですね。僕はもともといろんな要求を言うタイプなので。今回は「サビを増やそう」だの「ここに歌を付けよう」だの、いろいろわがままを言わせてもらいました。「望郷」のときは僕の中で三島の思うようにやってもらおうと決めてたんです。だから、個人的にはこのほうがいいのにって思う部分があってもあえて口にしませんでした。でも今回は思ったことを全部言おうと。僕はギターも弾けないし曲も作れないけど、自分が思ったことをちゃんと言うのが役目だと思って。
http://natalie.mu/music/pp/cinemastaff05/page/2

私、ここでそれでいいよって、みんなで決めようってなったの、すごい良いなって。今までも別に言いたいことが言えない環境だったわけではないと思うんですけど、お互いをすごい信頼してるんだなあって。そして、環境がとてもいいんだなあって。
なんだか、「僕たち楽しくやってます」っていう便りをもらったような気分で聞けるんです。
シネマの楽しい!が伝播して、私も楽しい。
シネマの曲たちは、いつも寄り添って、悲しくても嬉しくてもいろんな気持ちと共にいたけれど、このアルバムもやっぱりそうで、けどいつもより楽しいのギアが重いみたいな。

私、望郷がとても好きだったんです。けれど、あれは重たくて、何回もアルバム全体を繰り返して聞けるものではなかった。ひとつひとつ吟味して、大事にしまっておきたいようなアルバムでした。
けどこれは、三島がTwitterで言ってたように「皆様の暮らしと共にありますよう」というメッセージにぴったりというか。そうだね、暮らし密着型アルバムだね!と思わされたというか。
望郷で出し切ってしまったら、もうなんも残ってないんじゃないかなって思わないこともなかったんだけども、人間っていろんな顔があって、引き出しがあるにきまっていて、シネマはまた新しい引き出しを開けて見せてくれたんだなあと思って。
望郷でレベルアップして、なんか一回清算というか、終わった感があるんだけど、ラスボス終わったそのままのレベルで物語もっかい!強くてニューゲーム!(※しかし敵は最初から強い)みたいな!
なのでライブツアーが本当に、しぬっほど楽しみです。
しかもこれ、初回盤買うとAXで行われたライブが見られるんですよ!
cinema staff「two strike 2(to) night 決定版」inSHIBUYA AX - 眠たくなるには
↑こちらライブレポです。

いやこれは買わないとダメだろ~~~騙されたと思って聞いてみないとダメだろ~~~

そんなわけでライブもきてくれよな!
ファイナルはなんと…(ドラムロール)
東京Zepp DiverCityだよ~~~
チケットアルヨーないひとアルヨー(ダフ屋)

cinema staff「Death Bandwagon 2(to) Glory」
2014年5月17日(土)千葉県 千葉LOOK
2014年5月22日(木)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
2014年5月23日(金)香川県 DIME
2014年5月25日(日)福岡県 BEAT STATION
2014年6月1日(日)岐阜県 yanagase ants
2014年6月5日(木)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
2014年6月7日(土)広島県 CAVE-BE
2014年6月8日(日)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
2014年6月13日(金)北海道 BESSIE HALL
2014年6月15日(日)福島県 club SONIC iwaki
2014年6月19日(木)石川県 vanvan V4
2014年6月21日(土)新潟県 CLUB RIVERST
2014年6月22日(日)宮城県 仙台MACANA
2014年6月26日(木)東京都 Zepp DiverCity TOKYO